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オランダへ、感謝の気持ちを伝えよう

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先日、オランダから一本の電話を受けた。
電話の主は島田さん。

 

島田さんとの出会いは、今からすでに20年以上前で、俺が、ドイツ・ケルン体育大学で学生をしていた頃だ。
たまたま名古屋グランパスのユースチームがオランダ遠征に来ており、スタッフの先輩方に会いにオランダへ行った。
その遠征をコーディネートしていたのが島田さんだった。

島田さんは、初対面の俺に「学生なんだから食え」と、ガッツリ飯を食べさせてくれた。
そして、「ホテルで寝ていけ」とも言ってくれた。
ベッドが空いている時は、ベッドで。
空いていない時は、床のじゅうたんの上で寝た。
島田さんは、「学生だから問題無いだろ? 」と。
その通りで、当時の俺は、ヒッチハイクをしたり、何処でも寝られるという学生だったから、島田さんのお言葉に甘えた。

 

その後も、オランダに行くと必ず、いつも島田さんにお世話になった。

 

当時、島田さんは、オランダに長く在住されていて、鉄板焼きのレストランと和食屋さんを経営していた。
夜、島田さんにビールをご馳走してもらっていた時、色んな話を聞かせてもらった。
海外に長く住むと、どうしても現地のメンタリティーと文化の影響を受ける。
しかし、俺たち日本人は、日本のメンタリティーを忘れてはならない。
特に、義理と人情について、島田さんは、よく俺に語ってくれた。

 

俺は、ドイツに10年住み、ドイツのプロクラブで働いた。
言葉はともかく、仕事の仕方など、全てがドイツ社会だ。
メンタリティーもドイツ人同様でなければ通用しない。
だから生活スタイル、仕事の進め方全てがドイツ式だった。
しかし、いつも日本人としての心を忘れないように心掛けていた。
それは、いつもオランダで島田さんとビールを飲みながら指導を受けていたからだ。
島田さんは、当時20代だった俺にとって、血は繋がってはいないがヨーロッパでの日本人の父だった。

 

2010年、俺は湘南ベルマーレを辞め、故郷の長野へ戻った。
その時、島田さんに報告の電話をした。
すると島田さんは、心臓の手術をし、バイパスを4本入れたと聞かされた。
電話口で『 オランダの医学で無ければ、もう俺はいなかったかもしれない 』とも言った。
そして、『 俺は、もうそんなに長くないかもしれないから、会いに来てくれ 』 と言われた。
島田さんに知り合ってから、初めて会いに来てくれ、と言われた。

俺がヨーロッパから帰国してから5年が経っていた。
なんと本帰国後5年ぶりにヨーロッパへ行った。
島田さんに会う為に。

 

昨年末、長野市でサッカー国際ユース大会が開催された。
その際、オランダプロクラブのユースチームが招待され、島田さんがそのチームを連れて長野へやってきた。
島田さんは、70歳ながら、心臓を手術された数年前よりお元気だった。
昔と変わらぬ笑顔を見せてくれた。
ここ日本で、そして長野で、一週間、毎日島田さんに会えた。
幸せな時間だった。

 

若い頃、大変お世話になった島田さんには、感謝の気持ちしかない。
島田さんから教わった義理・人情を自分が次世代に継承する事が、恩人への御礼だと思っている。

 

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島田さんは電話で 『 この間長野へ行ったときはありがとな 』 と言ってくれた。
また、島田さんと一緒にビールを飲む為に、オランダへ行こう。

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