2021年度 トゥラウムアカデミー・ジュニアユース新規生・体験練習会・11月(現小学6年生対象)長野市サッカークラブ
夜中に目が覚めて、もう一度寝ようと思ったが、なかなか寝付けない。
眠れないので、久し振りにブログを書きだした。
我が家には、沢山のユニフォームが飾られている。
その全てにサインが入っている。
教え子たちの直筆。
私は、かつてユニフォームやサインのコレクターではなかった。
ほとんど興味もなかった。
しかし、今、我が家には、教え子たちのユニフォームが沢山ある。
いつの間にか、コレクターみたいになっている。笑
ユニフォームに、サインに付け加えて、メッセージも書いてくれた教え子たちもいる。
『 Fuer meinen Coach Takeo 俺のコーチ Takeo へ 』
『 Fuer mein Freund Takeo 俺のフレンド Takeo へ 』
私が、人生で初めてプレゼントされたのは、この白いユニフォーム。
光り輝くエンブレムには、54、74、90 とワールドカップ優勝の星が入っている。
ドイツ代表になった教え子から、
Danke ! (ありがとう!)
と送られてきた。
私の宝物だ。
このドイツ代表のユニフォームをプレゼントしてくれたのは、クリスチャン・トレーシュ。
1860ミュンヘンでの教え子。
先日、彼からメッセージが来た。
『引退する』 と。
私がクリスたちのコーチをしていたのは、1860ミュンヘンの頃。
クリスは高校生だった。
中列の左端がクリス。
田舎育ちで、いつも笑顔で、素直な良い子だった。
この学年は、1860ミュンヘンの中では当たり年と言われていた。
才能あふれるタレント集団の学年。
この写真の中から、多くの選手たちがプロサッカー選手になった。
当時のクリスは、この中で、最優秀なタレントではなかった。
しかし、いつも真面目に、真摯にサッカーに向き合う子だった。
試合では、愚直に走り、戦い続けるファイターだった。
その後、私は、日本へ本帰国して湘南ベルマーレでコーチを始めた。
クリスは、1860ミュンヘンの育成部門を終えてから、アマチュアチーム(2ndチーム)へ昇格。
その後、VfBシュツットガルトへ移籍。
VfBでブンデスリーガ1部デビューを果たした。
移籍後のクリスは、VfBでUEFAヨーロッパチャンピオンズリーグにも出場し、決勝ラウンドまで進出した。
そして、ドイツ代表に選出。
その当時、ドイツ代表のユニフォームを私にプレゼントしてくれた。
私が初めてもらったユニフォーム。
それも教え子から。
心から、本当に嬉しかった。
その後、クリスは、VfLヴォルフスブルグへ移籍。
移籍金は、十数億円になった。
そこで、ドイツチャンピオンになった。
クリスがヴォルフスブルグでプレーしていた当時、私は、彼を訪ねた。
ブンデスリーガー(プロ選手)、ドイツ代表になった教え子をピッチで見た。
感慨深いものがあった。
その夜、同じく1860ミュンヘン出身でヴォルフスブルグでプレーしていたマルセル・シェーファー(マーシー)と3人で夕食へ行った。
マーシーも、当時ドイツ代表。
左:マーシー 右:クリス
ドイツ代表だった2人の教え子と、美味しいドイツビールを飲みながら、良い時間を過ごした。
マーシーは、クリスの3歳年上。
高校生の頃から才能ある最優秀なタレントだった。
コーチたちの間では、将来確実にプロになる、と言われていた。
クリスは、真面目でいつも戦う選手だった。
だから、どのコーチからも好まれていた。
チームの中では、最高の働きバチだったから。
しかし、育成の時には、クリスがプロになれる、と言い切ったコーチは、いなかった。
私も、クリスがプロになれるという確信はなかった。
3人で食事中、その話をクリスにした。
すると、クリスは、
『 Takeo ! 俺のママはね、サッカーでダメだったら、また家に戻ってくれば良いのよ! って言ってたよ。
俺がプロになれるとは、思っていなかったんだよ! 』
と笑いながら答えていた。
その選手が、移籍金 十数億円の選手になった。
更には、ドイツ代表選手にまで上り詰めた。
クリスから引退のメッセージをもらった。
クリスに、『 お疲れさん! これからの第2の人生に幸運を! 』 と返信した。
『 Vielen Dank mein Freund ! 本当にありがとう、私のフレンド! 』 と。
言葉にできない、胸に熱く込み上げてくるものがあった。
今、私は、どんな子にも、可能性があると言い続けている。
心からそう思っている。
それは、自分の指導経験の中に、クリスとの時間があるから。
才能あふれる子供ではなかったクリス。
しかし、努力と継続は力なりを実践したクリスは、プロサッカー選手になった。
ドイツ代表にもなった。
だから、誰にでも可能性はある。
それを肯定してくれたのが、クリスです。
引退して、『 少しゆっくりする 』 とクリスは言った。
『 子どもたちが、パパが家にいる事を、とても喜んでいる 』 とも。
クリス、長いプロ生活お疲れさま!
また、そのうち、ドイツビールで一杯やろう!
◆ご案内◆
◎ドイツサッカースクール
YouTubeチャンネル公開中!
https://www.youtube.com/channel/UCuhr0Guz_rr61Z1NrUbnQzg/featured
◎西村岳生の書籍
西村岳生の書籍です。
子供たちがサッカーを通して育っていく中で、子供の自立を目指している内容です。
教え子の遠藤航選手(日本代表、ドイツ・VfBシュツットガルト)、菊池大介選手(アビスパ福岡)との鼎談もあります。
遠藤航選手と菊池大介選手の子供の頃の話も満載です。
【目次】
サッカー少年&少女を持つ保護者の方々におススメします。