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元日本サッカー協会・会長 岡野俊一郎氏へ、心より御冥福をお祈り申し上げます。 

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元日本サッカー協会会長の岡野俊一郎氏が亡くなられた。

 

私は、湘南ベルマーレでコーチをしていた2008年、岡野さんとご一緒に時間を過ごした事があった。
日本サッカー界の父と言われる、ドイツ人のデッドマール・クラマーさんが来日した時の事。
私は、クラマーさんの日本滞在時の通訳を依頼された。
約一週間、クラマーさんの通訳として、京都、大阪、佐賀へ同行した。

その時のクラマーさんを囲んでの食事会が行われた。
メキシコ・オリンピック銅メダリストの釜本邦茂さん、松本育夫さんらが集まり、その場に岡野さんもいらした。
佐賀では、岡野さんとクラマーさんの講演会・パネルディスカッションが開催され、私は通訳として登壇させて頂いた。
岡野さんとクラマーさんは、同時期に日本代表コーチをしており、お互いがお互いを兄弟のような存在だと言っていた。

佐賀での講演中、クラマーさんは、昔の日本代表の話で盛り上がった。
しかし、私にとっては自分の生前の話で、チンプンカンプンの時間があった。
会場は、2000人収容の大きなホール。
通訳の私がチンプンカンプンの時間、シーンと静まりかえる中、観客の視線が私に集まった。
そんな時、岡野さんは、優しく私に助け舟を出してくれた。
『 昔の、、、日本代表時代の内輪の話で、、、 』 と私が分からないのも無理が無いと思えるように、私を温かくフォローして下さった。

講演後、楽屋へ戻るエレベーターの中で、私は岡野さんに『 助けて頂いてありがとうございました 』 と深々と頭を下げてお礼を言った。
岡野さんは、『 どうも 』 と優しい笑顔で応えてくれた。
今までの私の人生の中で、エレベーターの中での出来事で記憶に残っているのは、後にも先にも、その時だけだ。
それだけ、今でもはっきりと憶えている。
横で、クラマーさんも笑っていた。

 

ホテルでの空き時間に、岡野さんと二人きりになった。
私は貴重な時間をと思い、岡野さんに質問をしてみた。
『 日本の現代社会の子供を取り巻く環境を、どう思いますか? 』
岡野さんは、私の顔を直視し、一瞬の間を空けてゆっくりと貴重な話をして下さった。

『 しつけには、三つある。
親のしつけ。
学校のしつけ。
地域のしつけ。
昔は、三つのしつけがしっかりとあった。
しかし、今は、どのしつけも昔に比べて少なくなってきている 』

その言葉を聞き、私は、言った。
『 私は、地域のしつけ、ができるように頑張ります 』
岡野さんは、印象的な優しい笑顔で 『 頑張って下さい 』 と言われた。
その時の一言を忘れてはいない。

 

岡野さんと過ごした数日間、私は、彼から沢山の事を学ぶ機会にもなった。
冷静であり、知性に溢れ、品格のある方だった。
岡野さんが発する言葉一つ一つに、重みと説得力があった。
その言葉は私の中に残り、その時々で思い出される。
サッカーを通じて、人を育てると「言う」事は簡単でも、実に難しい奥深い仕事だと日々感じている。

サッカーでいろんな方々と繋がってきたし、これからも繋がっていく。
そんな中、私のサッカー人生の中でも偉大なる存在のお一人である岡野氏。
あらためて敬意を表すると共に、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

http://www.hochi.co.jp/soccer/national/20170204-OHT1T50029.html

http://www.jfa.jp/news/00012500/

 

 

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