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ヨーロッパフットボールのダーティーな世界 (ドイツ遠征50)

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【トゥラウムアカデミー/ドイツサッカースクール スタッフ募集のお知らせ】

 

興奮冷めやらぬ中、私たちはブンデスリーガ観戦を終えて、客席からフロアーへ出た。

ガラス越しに下を見ると、人だかりができていた。

何事かと気になって、見に行った。

 

 

大勢の人だかり。

そりゃそうだ。

80,000人強の観客が集まったので。

 

しかし、よくよく見てみると、、、

 

 

白いヘルメットを被り、警棒を持った警官が多数。

警官が人の前に立ちはだかって、バリケードを作っている。

そこは、アウェイ側ヴォルフスブルグのサポーターブロックのゲート。

警官は、そのゲート外内に集結していた。

 

私たちは、ヴォルフスブルグのマーシーからチケットを入手した。

だから、もちろんアウェイチーム側のブロックで観戦した。

 

アウェイブロックのゲート外には、ドルトムントの過激なサポーターらが集結。

ゲートの中には、ヴォルフスブルグの過激なサポーターが。

ゲートを開ければ、一触即発。

重々しい雰囲気が漂っている。

今にも大乱闘が始まってしまいそうな、嫌な予感。

 

 

我々は、大切な、親御さんから預かった子供たちを連れている。

だからこの時、階段を降りてゲートへ行くことはしなかった。

いや、できる状態にはなかった。

 

 

もし、大乱闘になり、そこで巻き込まれれば、死傷者が出ても不思議ではない。

日本とは全く違う。

一歩間違えれば命に関わる。

その場は、暗黒漂う異質な世界。

 

 

私の1860ミュンヘン時代の事。

トップチームがブンデスリーガで4位になり、UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)に出場した。

イタリアのパルマと対戦した時、クラブは、チャーター機を2機飛ばした。

1機は、選手とトップチーム関係者と役員。

2機目は、ユースやフロントスタッフ。

そして、クラブは、空いた席を多くのサポーターに販売。

私たちは、サポーターと同便でパルマへフライトした。

 

イタリア、パルマでの試合後、私たちスタッフは、専用バスに乗り空港へ。

1機目の飛行機は、選手、トップチームスタッフらを乗せて、ミュンヘンへ向けて先に出発した。

しかし、2機目の私たちの便は、出発時間になっても出発しない。

フロントスタッフが口論しているのを聞いてみると、サポーターが予定時刻に戻ってこないと。

いくら待っても戻ってこない。

戻って来ない一部のサポーターに、みんなイライラ状態。

キックオフが20時くらいで、空港の出発時刻は夜中の0時前。

それからミュンヘンへフライトし、空港から自宅へ走れば、多分、夜中の2時から3時に自宅到着になる。

誰もが早くミュンヘンへ帰りたかった。

 

『 予定時刻に来ない、いくら待っても戻って来ないサポーターは置いていけ! 』

というフロントスタッフのお偉いさんと、

『 サポーターを置いてはいけない! 』

と反論するサポーター対応のスタッフのやり取りがあった。

 

結局、サポーターを置いて出発するわけにはいかないとの判断。

彼らが戻ってくるまで待つことになった。

空港で足止めをくらい、かなり長い時間待たされた。

 

やっと遅れていた一部のサポーター集団が空港へ戻ってきた。

見るからに大乱闘の後。

フーリガンという言葉をメディアで見聞きしたことはあったが、その姿は衝撃だった。

遅れて戻ってきたほとんどのサポーターたちの衣服が、血だらけ。

顔、腕など、あちこちから血を流していた。

改めて、ヨーロッパフットボールの恐ろしさに直に触れた。

 

 

しばし、ドルトムント・スタジアムの最上階から、ゲートの様子を見ていた。

私たちのいたアウェイブロックのゲートは、開かなかった。

全くゲートが開く雰囲気も無かった。

開ければ大乱闘になる可能性があるので、無理はない。

周りには、心配そうに見ている子連れのお客さんも大勢いた。

ドルトムントサポーターが、退散しない限りケートを開けられないだろうと思った。

 

すると、私たちの所に無線を持ったスタジアムの係員がやってきた。

その係員は、ドルトムントサポーターたちが、皆、ゲートから出たのでと、私たちをドルトムントサポーターのゲートへ案内してくれた。

お陰様で、私たちは、封鎖されているアウェイブロックのゲートを通らずに、スタジアムから外へ出ることができた。

 

 

地上に出て、改めてアウェイ側ブロックのゲートを見た。

まだ、かなり大勢の過激なサポーターが集まっており、多数の警察が取り囲んでいても、とてもゲートを開けられる状態ではなかった。

子供たちも、日本の常識が世界の常識では無いことを学んだ。

 

 

閉められたゲート前には、警察の騎馬隊も登場。

 

 

一人の子供が聞いてきた。

『 コーチ、なぜスタジアムに馬がいるんですか? 』

子供が疑問に思っても無理はない。

日本のスタジアムで、警察が馬に乗って対応することは無い。

 

乱闘騒ぎが起きた時には、騎馬隊は強い。

暴れまくるフーリガンへ向かって騎馬隊が前進してくると、さすがのフーリガンも逃げる。

馬に踏まれ、蹴られれば、人間の骨などすぐに折れ、重傷です。

ドイツのスタジアムに騎馬隊は付き物です。

 

 

物騒な場所から離れられた。

安全な場所まで移動したので、名残惜しいスタジアムをバックにして、最後に一枚。

 

 

みんな、無事に、ここで笑顔でいられることは、幸せなことです。

おかげさまで、安堵しました。

 

子供たちは、ドイツのスタジアムで、日本では知り得ないフットボールの世界を目の当たりにしました。

海外のスタジアムで、事件、事故に巻き込まれないようにするには、自分自身が気をつけなければなりません。

子供たちにとっては、日本では経験できない良い学びでした。

 

つづく

 

【トゥラウムアカデミー・ドイツ遠征にご協賛頂いた皆様(順不同)】

・北川  昌紀 様 (三重県立いなべ総合学園高校サッカー部監督)

・一場 哲宏 様 (一般社団法人伊勢原fc フォレスト代表

遠藤 航 様 (シント=トロイデン、ベルギー

・林田 和真くん ご家族 様

・東山 快斗くん、俐紅くん、雄大くん ご家族様

・影山 雅永 様 (U-20 日本代表監督

・宮澤 剛史 様

・森岡 卓也 様 (もりおか整骨院

・瀧澤 幸一 様

・大栄電気設備株式会社 様

・鈴木 徹 様 (株式会社 鈴機 SZK

・竜野 樹くん ご家族 様

・曺  貴裁 様 (湘南ベルマーレ監督

・小林 誠くん ご家族 様

・吉田 達磨 様 (シンガポール代表監督、前ヴァンフォーレ甲府監督、元アルビレックス新潟監督、元柏レイソル監督)

・横田 和明 様

・小林 邦雄 様 (松本トレセン)

・塩瀬 英明 様 (エフクロ・efukuro)

・福田 秀敏 様

・北澤 一真くん ご家族 様

・池田 竜也 様

・中村 波空くん ご家族 様

・小湊 啓一 様

・小林 聡 様

・大谷 誠一 様

・宮越 宏一 様 、 秀子 様

・小嶌 知二 様

 

皆様のご厚情に、心より感謝を申し上げます。

本当にありがとうございます。

 

 

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